事業別損益の実務上の対応について

現在ホームページのSSL化を進行中です。保護されていない通信と出ていますが、こちらのページではお客様の情報を不正に取得することはございません。

社会起業家経営
サポートセンター

社会起業家に寄添い右腕になれる存在へ
認定経営革新等支援機関

電話バナー

事業別損益の実務上の対応について

だいぶん、朝はひんやりしてきました。秋もだんだんと深まってくる今日この頃ですが、近所の田んぼの稲穂が大分垂れ下がってきていますね。もう少しで収穫が始まりそうです。

 さて、今回は、前回の事業別損益の重要性の実践編です。前回は事業別損益の必要性をNPO法人の経営者がどこまで意識するかについてお話ししました。とは、言うものの、それを実務に落とし込むことが求められます。

1.把握する事業区分について
 事業別損益の把握を実務に落とし込むには、まず、事業別損益をデータで集計する必要があります。おそらくどのNPO法人も会計ソフトを使用していると思いますが、そこではマネジメントの視点が重要となります。

 法人を経営する際に、どのような事業の業績を把握しようとしているかにより、その単位は変わります。どの法人もいくつかの事業を複数実施しているところが多いと思います。単一の事業を運営していたとしても、それを細分化すると複数の事業単位に区分することもあります。

 たとえば、介護事業をしているNPO法人の場合、その事業が居宅介護、訪問介護、デイサービス、グループホームなど多岐にわたります。これに事業をしている場所が複数あることもあります。

 また、グループホームを単独事業として実施しても、利用者を年齢、性別、場所などユーザーによる区分をしている場合もあります。あるいは、グループホーム事業を促進するために地域の活動をすることもあります。

 このように、把握すべき事業単位をどのように区分するかは、まさにマネジメントの視点、つまり、どの事業単位の区分で業績を把握したいのかという経営者目線を持つことで、自ずから決まってくるということです。

2.組織と会計上の区分について
 経営者が把握する事業区分が決まれば、次に行うのはこれらの事業を誰が実施するかです。NPO法人でも比較的規模の大きな法人から少人数で運営している法人までいろいろあります。ここでは、比較的少人数で運営しているNPO法人を前提とすると、事業実施のための体制と人数の割り振りをすることになります。

 ところが、ここで大きな壁に当たります。何故なら、複数の事業を実施するとしても、少ない人数をそんなにすっきりと分けられないからです。1人何役もこなさないと回って行かないのが実情だと思います。

 では、どうするか。ここでもマネジメントの方針次第で、どれだけのレベルの業績を把握したいかにかかっています。当然のことながら、各事業別損益を正確に把握したいというのであれば、それに必要なデータが求められます。そうではなく、とりあえず、ざっくりとした業績を把握すれば良いというのであれば、ある程度の誤差があっても、それで良いということになります。
 
 前者の場合だと、それこそ1日の業務量を測定して、当該業務に係る時間を集計して、人件費を事業別に按分することになります。後者の場合だと、事業計画の中で、人員別にざっくりとした業務量で事業別に按分することで足ります。

 このように、経営者の求める情報をどこに求めるかで決めればよいことがわかります。この辺は、裁量に委ねられるところですので、何が正解かを求める必要はありません。欲しい情報により判断すれば良いのです。まずは、ざっくりでも人件費を事業別に按分するところから開始するkとをお勧めします。

3.経費の事業別按分について
 残るコストとしては経費をどう事業別に按分するかがあります。経費の事業別に按分する原則は、個別費用と共通費用の事業別の負担を決めることです。すなわち、個別の事業で直接発生する経費は、その事業に賦課すればよいし、共通して発生する経費は、何らかの基準で事業別に按分すれば良いという考え方です。

 個別費用はそのまま事業に賦課すればよいので、それほど問題になることはありません。問題は共通費用の按分です。これは、各費用の性質により、各事業に按分すれば良いのですが、これも精度をどこに求めるかをマネジメントの視点で決めればよいことになります。

 たとえば、事務所家賃は事業にも管理にも共通して発生します。その家賃をどれだけ各事業や管理に按分するか。教科書的に言えば、当該事業や管理に使用する面積で按分するのがオーソドックスな方法ですが、それほど簡単に行くわけではありません。

 そうすると、後は何か理屈をつけて、ある程度使用実態を踏まえて各事業や管理に按分するしかありません。そこにこれといった正解はありませんので、自らこれだと大体合っているのではないかというくらいでも大丈夫です。

 このように、最初は、精度はともかく、事業別損益の把握を実施することです。その実施した結果をどう経営判断に活用するかが大事です。そこで何故事業別損益を把握するのかというそもそも論に入ってくるのです。

 少し長くなりましたので、今回はこの辺にしておきます。次回では、事業別損益の経営判断に活用する際の留意点などを取り上げ上げたいと思います。