おはようございます。本日はすごく良い天気ですね。日に日に春の兆しがあちこちに出始めています。何かウキウキして、外出したい気分ですね。この投稿をした後、ちょっと外に出てみることにしましょう。
さて、今回からNPOの課題を整理して、その解決の方向性を考えてみたいと思います。NPOの成長戦略とCSVにおける企業との接点を考えた時に、どんな課題がありこれを解決すれば良いのでしょうか。今回は、NPOの制度上の課題です。
1.寄附税制上の課題
NPO側の制度上の課題は、何といっても寄附税制です。ご存知のように寄附税制は認定NPO法人のみに適用されるため、その他大勢のNPO法人に対しては、寄附税制の恩典を活用することができません。
内閣府の情報によると、平成30年度1月末現在のNPO法人は51,861法人ありますが、このうち、認定NPO法人は1,060法人と僅か全体の2%です。つまり、企業から見た時に、社会的な信用力の一つとして評価されるべき認定NPO法人は、わずかしか存在しないという事実です。
企業側からすれば、寄附する際には寄附税制のメリットを受けたいと思うのは当然のことです。そうした恩典を受ける寄附先が少ないというのは、実際にNPOと関わりたいと思っていても、いざという時には障害になることは容易に想像できます。
2.NPOに対する企業側のスタンス
あらためて、企業側のスタンスを見ると、NPOの社会的信用力や組織運営力を厳しくチェックするため、この段階で認定NPO法人でないところは、寄附の対象から外れるリスクが高くなると考えます。いくら企業側とマッチするNPOがあったとしても、寄附のメリットがある認定NPO法人でないことを理由に、アンマッチになることが考えられます。
もちろん、寄附がすべてではなく、企業とNPOの協働は他の方法で実施できるのは言うまでもありません。ですが、企業のCSVの一環として取組むCRM(コーズ・リレイテド:マーケティング)の観点からは、対象外になってしまうリスクがあること自体が制度上の課題として残ってしまうことになります。
3.NPOの課題解決の方向性
では、こうした制度上の課題にどう対応すれば良いのでしょうか。この解決の方向性は、NPOが認定NPO法人になることですが、現状ではその2%のハードルを越えるのは高いと言えます。しかしながら、CSVを行う企業との接点を積極的に考えるならば、いずれ乗り越えるべき壁とも言えます。
他方で、認定NPO法人の要件については、もう少し、制度上の緩和措置が検討できないかは一考の余地があると思います。たとえば、パブリックサポートテストの要件緩和ができないかという点です。
実績判定期間内の各事業年度中の寄附金の額の総額が、3000円以上である寄附者の数の合計額が年平均100人以上であることを求める絶対値基準があります。この寄附金額または人数の要件緩和です。その代りに、運営組織及び経理的基礎の要件として、ガバナンスや財務に係る情報公開の徹底を行うことが考えられます。また、外部監査を受けた場合は、その優位性を他の要件に先駆けて認めてもらうことができないでしょうか。
こうした要件緩和措置について、その必要性と実務上の対応と併せて、NPO自らが情報発信するとともに、監督官庁に意見具申することが望まれます。
次回は、組織運営及び資金調達(ファンドレイジング)の観点から、もう少し掘り下げたいと思います。よろしくお願いします。