おはようございます。昨日くらいから過ごしやすくなっています。自宅は山の麓にあるので、ひんやりしており少し寒いくらいですね。このまま秋に向かってくれれば良いのですが。
さて、先日、NPOと中小企業関係の補助金についてと題して、NPO法人にも「ものづくり補助金」が申請できることをお話ししました。そこでは紙面の関係で伝えきれなかったので、今回はもう少し実際の対応について述べたいと思います。
1.NPOと収益事業及び認定
NPO法人が「ものづくり補助金」に申請する要件の一つとして、法人税法上の収益事業を実施していることが求められています。つまり、NPO法人であればすべてが対象になるのではなく、収益事業を実施している法人のみが対象になります。逆に言えば、収益事業を実施していない法人はそもそも申請できないことになります。https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/29mh_2koubo20180803.pdf
このような要件を課したのは、もともと中小企業とのバランスを考慮した場合、営利事業を行っている法人として事業型NPO法人を想定したものと考えられます。実際のところ、事業型NPO法人でないとそれなりの規模の事業にはならないでしょうし、設備投資を検討することはあまりないことが予想されたものと思われます。
もう一つの要件として、認定NPO法人ではないことが求められています。つまり、事業型NPO法人であっても認定NPO法人となっている場合は申請できないことになります。これはちょっと厳しい要件かと考えます。何故なら、認定NPO法人であることはNPO法人の本旨である多様な関係者から寄附という形の賛同と支援を受けることに他ならないからです。
確かに、認定NPO法人になると寄附する側や法人にとって税制上の恩典がありますので、すでにこうしたメリットを受けている法人は対象にしないという考え方があるように思いますが、NPOの本質にかかわることなので、今後は認定NPO法人でないことを要件にしないよう、関係省庁に働きかける必要があると考えます。
とは言うものの、今回の申請に際しては、法人税法上の収益事業を実施し、かつ、認定NPO法人でないことの要件を満たすNPO法人のみが対象になるということに留意が必要です。
2.NPOと経営力向上計画
法人税法上の収益事業を実施し、かつ、認定NPO法人でないことの要件を満たすNPO法人がクリアしなければならない要件がまだあります。それは、経営力向上計画の認定を受けることです。経営力向上計画とは、中小企業・小規模事業者等が事業分野指針に沿って、「経営力向上計画」を作成し、国の認定を受けることにより、税制や金融支援等の支援を受ける制度です。
すなわち、中小企業・小規模事業者等は人材育成・コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など自社の経営力を向上することを目標とする「経営力向上計画」を策定し主務大臣の認定を受ければ、税制措置や金融支援等の利用が可能となります。
(出所:近畿経済産業局ホームページ)
この経営力向上計画は以前からNPO法人にも適用されていたのですが、今回のものづくり補助金にこの経営力向上計画を要件に入れてきました。これは、NPO法人のやる気と本気度を考えたのだと思料します。つまり、こうした認定を受けるくらいでないとものづくり補助金に採択されませんよと言わんばかりです。
これも中小企業・小規模事業者と差がありますが、決して無理なことではありません。むしろ経営力向上計画の認定を受けることで、本来の税制措置や金融支援等の利用が可能となりますので、そのついでと言っては何ですが、経営力向上計画の活用の一つとして考えればよいと思います。
3.ものづくり補助金に採択される準備
このようにNPO法人にとって一定のハードルはあるものの、これらをクリアすればものづくり補助金に申請することができ、中小企業・小規模事業者と同じ土俵で勝負することが可能となります。したがって、事業型NPO法人は持続的な成長を続けるための事業計画とセットで資金調達方法の一つであるものづくり補助金にトライして欲しいと思います。
ただし、こうした要件を満たす事業型NPO法人であってもものづくり補助金に採択される準備をしっかり行い、中小企業・小規模事業者に負けない申請をする必要があります。このものづくり補助金は以前と比べてかなりの激戦になっています。採択率はその年度により幅がありますが、40%前後で推移しています。予算に限りがありますので、1次公募で採択されるようにあらかじめ準備をすることをお勧めします。
なお、経営力向上計画の申請とセットですることになりますが、まずは経営力向上計画の申請を開始し、この経営力向上計画の認定を受けることを前提に手続きを行います。経営力向上計画の認定には概ね1か月前後の日数がかかりますので、その辺のスケジュールを上手く調整する必要があります。
弊公認会計士事務所では、こうしたやる気と本気のNPOを支援をしていますので、これはと思った法人はご連絡ください。具体的な支援方法をお伝えすることが可能です。