監事監査の留意点(1)

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監事監査の留意点(1)

 おはようございます。昨日は、会計士協会の総会に行ってきました。と言っても、業務の関係で終盤からのちょこっと参加でした(笑)。最近は毎年、リッツカールトンのホテルでやってます。
 
 リッツカールトンのホテルに行かれた方はご存知だと思いますが、ホテルのポリシーで、部屋の案内がありません。ですので、トイレを探すのも一苦労です。何度も行っているので、わかっているはずなのに、迷路に入ったがごとく迷ってしまいますね。今日も元気で行きましょう。

(要旨)
①監事にはどんな人がなっている?
②監事になる人は専門的な能力を発揮している?
③監事の役割を果たすインフラを考える

 さて、本日のテーマは「監事監査の留意点(1)」です。前回まで、自治体の現状や特性を踏まえた内部統制の評価とリスクについてお伝えしました。今回から、非営利法人の監事監査の留意点についてのお話をしたいと思います。

①監事にはどんな人がなっている?

 民間企業は監査役と言い、非営利法人の場合は監事と言います。呼び名は違いますが、業務は同じです。理事会に主席して理事長や理事の執行について監視をし、法人の運営について業務監査と会計監査をします。

 監事は、総会で選任されます。選任の際には法人で監事候補を上程します。その監事はどんな人が選任されていますでしょうか。弁護士、会計士、税理士などの職業専門家もいれば、他の法人の理事など業務の関係先での役員もいれば、内部の職員から監事になる人もいるでしょう。

 大別すれば、外部の方が、内部昇格の方よりも多いと思います。多分、どこかに統計上のデータがあったように思いますが、そんなに外れてはいないでしょう。

②監事になる人は専門的な能力を発揮している?

 監事の業務は、まさに法人の運営の監視役ですから、誰でも良いという訳には行きません。監査をする専門的な能力と資質が求められます。特に、最近ではガバナンス強化が言われており、監事の権限と責任は大きく、かつ、重たくなっています。

 残念ながら、法人の不正や法令違反の行為が増加しており、その時監事は何をしていたと言われることが増えています。とは言うものの、いろいろな要因があって、監事が持っている専門的な能力を発揮しているとは言い難い状況があります。

 たとえば、監事が監査を行う日数です。非営利法人と言っても様々です。大規模法人もあれば、本当にこじんまりした法人までいろいろです。この監事が年間どれくらいの日数をかけて監査をしているかというと、理事会の出席は別にしても、年次決算の監査で1日という法人が多いのではないでしょうか。

 もちろん、大規模法人だと監事も複数いて、業務分担も行い、担当職員もつけて本格的な監査をしている法人もあるでしょう。ですが、そうした法人はほんの一握りで、そこそこの規模の法人でも、経済的な理由で1人の監事が年間1日監査というところが多いと思います。

③監事の役割を果たすインフラを考える

 このように、監事が専門的な能力を持っていたとしても、それを発揮するインフラが整っていないと、なかなか監事監査の実効性が上がってこないリスクがあります。

 監事が専門的な能力を発揮するインフラとしては、経済的な報酬であったり、実施体制であったり、そして監事の専門的な能力そのものであったりします。こうしたインフラをどう考えるのかは、つまるところ法人トップの考え方によるところが大きいと思います。

 法人のガバナンスをどう考えるのか、監事の役割は何か、監事にふさわしい人が身近な所にいるかなど、いくつかのポイントを探っていくと、法人の抱える制約条件の中で、その答えはある程度出てくるように思います。

 監事が果たす役割は大きいです。それを活かすも活かさないも法人次第です。自団体の監事がこうした役割を発揮できる状況にあるかについて、一度確認されてみてはいかがでしょうか。次週に続きます。