NPO法人の決算書の見方と経営の視点4

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NPO法人の決算書の見方と経営の視点4

 おはようございます。先週はムスカリの話をしました。今週はもみじです。今の家に引っ越すときに庭には、最初からもみじの木が植えてありました。何故、もみじかわかりませんが、春から夏にかけての青々としたもみじの葉と、秋の紅葉にかけて色ずく赤い葉は本当にコントラストが見事です。

 その我が家には、もみじのこぼれ種が別の場所に根を下ろして、いつの間にか相当大きくなってきています。いわば、もみじ第2号です。第1号に負けじと年々幹が太くなっており、そのままにしておくと大きくなり、段々手を付けられないことがわかっているにもかかわらず、もみじの葉の美しさの誘惑に負けてしまい、しばらくは置いています。

 もうそろそろ残すか切るか決断しなければいけいないのですが、優柔不断のまま今に至っています。どうすれば良いか思案中です。何か良い方法があれば教えてください。今日も張り切って元気に行きましょう。

(要旨)
①事業費の按分とは
②事業費の按分基準の視点
③事業費の按分と経営への活用の関係

 さて、本日のテーマは「NPO法人の決算書の見方と経営の視点4」です。前回、NPO法人の決算書において、事業別損益の開示と経営への活用が必須であることをお伝えしました。今回は、事業費の按分です。

①事業費の按分とは

 前回、事業別損益の開示において、人件費や経費など事業費の按分を適正にしないと実態を反映した事業別決算ができないことをお伝えしました。今回は、それを少し深堀して行きます。

 NPO法人の活動計算書の構成を見られたらわかると思いますが、まずは、経常収益があって、その次に経常費用が表示されます。経常費用は、事業費と管理費に区分され、それぞれ人件費とその他経費に区分されます。

 これらの区分は、NPO法人会計基準に基づき費用を直接費と共通費(間接費)に按分することになります。すなわち、最初から支出の目的が事業費と管理費に計上することがわかっている場合は、直接それぞれの費用区分にチャージします。

 他方、共通費(間接費)は、支出の目的が事業費と管理費のどちらにも関わっている場合、あるいはどちらに区分すればよいか明確でない場合、何らかの基準を設定して按分する必要が出てきます。

②事業費の按分基準の視点

 では、この事業費を何故区分するのでしょうか。また、どのような考え方で按分すれば良いのでしょうか。事業費を区分する理由は、NPO法人の事業実態を正確に把握し、団体内部の経営管理に資する情報を把握するとともに対外的な説明責任を果たすためです。

 もし、NPO法人の事業にかかった費用を正確に把握できないとしたら、どうなるのでしょうか。自団体の活動実態もわからず、誤った経営判断をするリスクが高くなります。また、そうした誤った情報を開示すれば、団体に対する外部の関係者の関わり合い方の判断にも悪い影響を与えます。

 だからこそ、NPO法人の事業にかかった費用を実態を反映した按分基準を設定し、その基準に従った按分をする必要があります。按分の考え方の最たるものは、この費用が団体のどんな活動にかかるものであるかについて、できるだけ実態に即して区分するというものです。

③事業費の按分と経営への活用の関係

 事業費の按分基準の設定は、何も難しく考える必要はありません。それぞれの費目の性質を勘案して、この費用が直接事業にかかるものかそうでないかを区分したうえで、それぞれの区分に直接負担させるものとそれ以外のものを区分し、直接負担させないものを実態に即して按分すればよいのです。

 その按分の手法として、面積按分、使用実績割合、人数割合等があります。ですが、それらはあくまで参考です。それに必ず従わなければならないというものではありません。自分たちの考えさえあれば、そちらの方で按分すればよいだけです。

 その際、もっと大事なことは、団体の経営の思想がその按分基準に反映されていることです。人件費経費をどのように按分すれば、最も効果的効率的に資源を配分できるのか、その視点で按分基準を考えてほしいのです。

 単なる技術的は区分を考えるのではなく、マネジメントの視点からどう設定すればよいかをぜひとも考えて見てくださいね。次週に続きます。