監事監査の留意点(2)

NPO等非営利法人
サポートセンター

電話バナー

監事監査の留意点(2)

 おはようございます。昨日で1年の半分は終了しました。本日からもうすでに後半戦ですね。最近は、小説を読まなくなって久しいのですが、何故か新聞小説だけは読んでいます。もうかなりの筋金入りの新聞小説の読者です(笑)。
 
 その新聞小説で、昨日まで日経新聞に掲載されていたのが宮部みゆき氏作の「迷いの旅籠」です。江戸時代の神田にある袋物屋の三島屋の主人公のおちかさんが、一度に一人の語り手を客間に招き入れ、不思議な話や恐ろしい話を聞き出す物語です。

 宮部みゆき氏が4つの不思議怪奇の物語をオムニバス方式で江戸時代の庶民の生活を丁寧に描いており、奇妙ながらも人間心理を突いたストーリーで、読後の余韻が残った良い作品でした。以前に読んだ「火車」と同じ、最後の結末を読者に予想させる手法は、さすが宮部氏と思わせる良質な作品に仕上がっていました。今日も元気で行きましょう。

(要旨)
①監事監査の種類は会計監査と業務監査
②会計監査が業務監査を兼ねている
③監事監査に求められる機能と役割の再認識

 さて、本日のテーマは「監事監査の留意点(2)」です。前回、非営利法人の監事になる人は専門的な能力を持っていても、なかなか監事の役割を果たすインフラが整備されていない現状についてお伝えしました。今回は、監事監査の種類についてのお話をしたいと思います。

①監事監査の種類は会計監査と業務監査

 非営利法人の監事は、主にどんな監査をしているのでしょうか。監査の種類としては、会計監査と業務監査があります。主に行う監査は会計監査で、通常は年次決算の監査です。法人が作成する年次決算書全般について、正確に作成され間違った決算書になっていないかをチェックします。

 業務監査は、主に法人の理事が執行する業務について、法令等に準拠しており、違法な行為をしていないか、効率的な業務を実施しているかをチェックします。そのためには、理事会等に同席し、必要に応じて監事としての意見を言うこともできます。

 監事はこの会計監査と業務監査の両方をする必要がありますが、実際には会計監査をメインにすることが多くなっています。これは、監事の実働が実質的には1年に数日という実態があるため、どうしても限られた時間で監査をするには、決算書のチェックが優先されるからです。

②会計監査が業務監査を兼ねている

 そうだとしても、まったく監事が業務監査をしていないわけではありません。監事の実働にもよりますが、年数回開催される理事会には監事が出席することは多いですし、会計監査の際に、理事の法令等への違反の有無をチェックすることは普通に実施されています。

 実際のところ、年次決算の会計監査の際に、業務監査を兼ねて実施しているというのが実態ではないでしょうか。監事の報酬を考えると、それくらいの分量で手一杯というところでしょう。

 それ以上のものを監事に求めることは、ひょっとしたら酷なことかもしれません。本来実施すべき監事監査の質量では、限界があるということが言えると思います。

③監事監査に求められる機能と役割の再認識

 このように、監事監査にも一定の限界がある中で、監事はどこまで監査を行えばよいのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、もっと監事に監査の時間を増やす機会を持つことに専念しましょうということです。

 そのためには、監事が動きやすい実施体制を法人のトップが用意する必要があります。たとえば、監事監査にもっと内部の人を付ける、監査の役割分担を行うために複数の監事を選任するなどが考えられます。

 それをすることでコストがかかり過ぎるということになれば、実現困難になってしまいます。法人によりそうした対応は様々だと思いますが、少なくとも監事監査の重要性を認識すれば、限られた人員の中でもできることはあるはずです。

 この辺は、前回にもお伝えしたように、法人のトップ次第です。監査の重要性を考えたうえで、優先順位を付けた対応をしてほしいと思います。