決算書の読み方と企業の見分け方5

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決算書の読み方と企業の見分け方5

 おはようございます。昨日はいろんな行事が目白押しでしたね。参議院選挙に、ウィンブルドン男子決勝、サッカーユーロ2016 決勝です。プロ野球は日ハムの大谷君が登場する日です。

参議院選挙は下馬評通り自民党の圧勝で改選議席数過半数を取り、安倍さんは改憲に向けた対応を加速することになるでしょう。一方、ウィンブルドン男子決勝は英国のマレーが3年ぶり2度目の優勝、サッカーユーロ2016 決勝は先ほど終了してポルトガルの優勝とスポーツファンには応えられない週末となりました。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
①3つの決算書は当然に相互に関係している
②利益獲得の要因分析と将来の利益獲得に向けた布石を感じ取る
③企業活動を他社比較や時系列比較をすることで見えてくるもの

 さて、本日のテーマは「決算書の読み方と企業の見分け方5」です。前回、キャッシュ・フロー計算書は企業の経営の巧拙と戦略がはっきりと出ることをお伝えしました。今回は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書3つの決算書の関係です。

①3つの決算書は当然に相互に関係している

 貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書は、それぞれ企業活動の財政状態、損益状態、キャッシュ・フローの状態と企業とストック及びフローの状況を示したものです。この3つの決算書は企業活動の一面を示していますが、それぞれ独立している訳ではありません。

 すなわち、企業は営利を追求する組織体ですので、この利益を共通の指標として、利益を獲得するためにどのような活動をしたのかをストック及びフローの側面から見たものであり、各決算書は当然に利益という共通の指標で繋がっています。

 つまり、3つの決算書は利益という共通の指標を示すために、当然に相互に関係しているのです。そうすると、企業を見る時にはこれら3つの決算書をバラバラに見るのではなく、一体的に併せてみる必要があります。

②利益獲得の要因分析と将来の利益獲得に向けた布石を感じ取る

 貸借対照表は、決算日時点での資金調達の源泉と資金の運用状況を示したストック情報です。これまで営々と活動した結果として資産負債資本の状況を一定の時点で示したものですが、これだけではよくわかりません。

 何故、決算日時点での資金調達の源泉と資金の運用状況を示しているのか、それを読み解くためには、キャッシュ・フロー計算書を見ます。たとえば、将来の利益獲得のために大きな設備投資をした場合、有形固定資産や投資資産が大きくなっているはずです。

 これらの資産は、直ちに利益に結びつかないかもしれませんが、将来の成長のためには欠かせない先行投資であることがわかります。その資金調達の源泉は、一番良いのは事業活動から得られたキャッシュを充当すればよく、そのためには損益計算書でどれだけ利益を稼いだかを見ることになります。

 ですが、通常、稼いだ利益だけでは資金が足りないことが多いので、足りない部分は融資を受けるか資本を増強するかを考えます。そうすると、従来より、借金や社債が増えることになります。また、増資をしてその資金を充当することになります。

③企業活動を他社比較や時系列比較をすることで見えてくるもの

 このように、企業活動を利益という共通の指標をもとに3つの決算書は相互に関係性を持っていますので、企業を見る時は必ず3つの決算書をセットで見る必要があることがわかります。これをすることにより、企業の動きの大枠は把握することができます。

 さらにこれを発展させる方法として、企業活動を他社比較や時系列比較をすることをお勧めします。企業は経済環境の変化に即応して自由自在に組織構造を変化させ、ヒトモノカネ情報を利益獲得最大化に向けて調整します。

 つまり、継続的に利益を獲得するためにヒトモノカネ情報の活用をもっとも効率的に活用しようとします。ですが、それが上手く行くとは限りません。このヒトモノカネ情報の使い方や配分は企業により様々ですが、これを最大限に活用している企業ばっかりではありません。

 これを見分けるためには、企業活動を他社比較や時系列比較をすることでわかることがあります。他社と比べてどこが良いのか悪いのか、あるいは1つの企業を時系列で何年間のトレンドを見ることで企業の変化にも付いていくことができます。

 これは、自社の動きをいろいろな情報と比較検討することで普段では気が付かないことも見えてくることが結構あります。できるだけ客観的に自社を見ること、これは経営者に求められる資質の一つです。

 かの稲盛さんが、「会計のことがわからんで経営ができるか」とおっしゃったことは、まさにこのことを示しているのだと勝手に思っています(笑)。