NPO法人の決算書の見方と経営の視点6

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NPO法人の決算書の見方と経営の視点6

 おはようございます。先週、夏風邪をひいた話をしましたが、実はまだ完全に治っていません。一度ひくと尾を引くのが年々長くなっています。体力の衰えを少なからず感じています。これに対する備えとして、いろいろ検討しました。

 喉を鍛えるのに水泳が良いとか、食べ物に注意するとか、部屋の空調というか清澄に保つとかを検討しました。もともとアレルギー体質なのかハウスダスト系には気を付けていますが、それでも体力が落ちていたりすると喉を痛めやすくなるようです。

 意思が弱く続けるのは大変ですが、特効薬はなく、無理せずに続けられる方法を模索しています。さしずめワンちゃん(milkey)の散歩を増やすことを考えています。できるだけ速足で歩いて運動をするというものです。自分へのご褒美を作って何とか実施したいと思います。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
①無償または著しく低廉な価格で財・サービスの提供を受けた場合の会計処理と表示とは
②活動計算書本体に計上するか注記で表示
③NPO法人の事業活動の評価指標のひとつとして考える

 さて、本日のテーマは「NPO法人の決算書の見方と経営の視点6」です。前回、NPO法人の決算書において、寄附金等の会計処理と表示は団体の経営の巧拙を浮き彫りにすることをお伝えしました。今回は、無償または著しく低廉な価格で財・サービスの提供を受けた場合の会計処理と表示です。

①無償または著しく低廉な価格で財・サービスの提供を受けた場合の会計処理と表示とは

 NPO法人の事業を行う際に、お金がない法人に無償または著しく低廉な価格で財・サービスの提供を受ける場合があります。たとえば、施設を無償またはほとんどタダ同然で賃借したり、支援を受けている方から無償で商品の提供を受けたりします。

 これらは、通常の経済活動では、その財・サービスの提供を受ける際に対価を有償で支払います。ですが、NPO法人の事業活動に共感し、支援したいということで本来の対価を頂かない、あるいは著しく低廉な価格で良いというありがたい申し出を受けることがあります。

 こうした状況の中で、会計の世界では、近いものとして無償の資産を譲り受けることがあります。たとえば、土地の無償譲渡を受ける場合、その土地を公正な評価、すなわち、時価評価して資産に計上します。今回のケースでは財・サービスの提供を受けて消費することが前提なので、資産には計上しません。

②活動計算書本体に計上するか注記で表示 

 無償または著しく低廉な価格で財・サービスの提供を受けた場合、有償での対価を払っていないので、通常、何も会計処理をしません。お金が動いていないからです。ですが、NPO法人の特性からして、多くの関係者からの支援を受けたことについて、積極的にアピールして行こうという考え方があります。

 これで行くと、確かにお金は払っていないけれども、それに見合う財・サービスの提供を受けた訳ですから、そのことをしっかりと決算書に反映させようということになります。

 極端な例では、事業の経費のほとんどを無償または著しく低廉な価格で財・サービスの提供を受けた場合、何も活動計算書に計上されないのでは、その法人の活動が見えてこないというおかしな状況になってしまいます。

 こうした弊害を避け、NPO法人の事業活動の実態を正確に決算書に反映するという趣旨で、もしこれを有償で払ったらという仮定を設定し、その金額を合理的に計算して費用に計上します。でも、実際には払っていないので、その分利益を受けたということで見合いの金額を収益に計上します。

  活動計算書で言うと、経常収益の受取寄附金の部に施設等受入評価益という科目、経常費用の事業費その他経費の部に施設等評価費用という科目で金額を表示します。あるいは、これを活動計算書ではなく、注記として記載することも可能です。いずれも合理的に計算できることが前提です。

③NPO法人の事業活動の評価指標のひとつとして考える

 このような会計処理と表示は、NPO法人の事業活動に賛同し、共感を得た方から貴重な資源を受けたという意味で、結構重要な指標の一つとして評価される項目になると思います。ですが、実際のところ、こうした会計処理や表示を見ることが少ないのが実情です。

 仕事柄、公表されているNPO法人の決算書を見る機会が多いのですが、なかなかこうした事例に当たることがありません。その理由の一つとしては、合理的な金額の算定です。実際に活動計算書本体に計上するか注記で表示するにはその根拠が求められます。

 すなわち、算定の基礎がしっかりしていないと下手をすると虚偽の表示になってしまいます。これではNPO法人の事業活動の実態を見誤りかねず、本末転倒になってしまいます。それを避けるには、あらかじめ計算基礎を入手したり、関連証憑を入手するなどの手間をかける必要があります。

 これを嫌っているのか、なかなかお目にかかれません。そこは、経営判断として、こうした情報を開示することでNPO法人の事業活動に賛同し、共感を得る戦略を考えることもできます。

 先日にお伝えしたボランティアもそうですが、いかに多様な共感資源を受け入れ、そのことをアピールするか、経営者のマインドが戦略にも反映されることが見て取れるのです。まだのNPO法人は、ぜひ、これにチャレンジし、決算書に反映してみてください。他の法人との差別化にもなりますよ。