決算書の読み方と企業の見分け方6

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決算書の読み方と企業の見分け方6

 おはようございます。今日は3連休の最後の休み。天気も良いようでだんだんと梅雨明けが近づいてくるのを感じますね。今日はお出かけの方も多いのではないでしょうか。当方は、相変わらず締め切りの追われた資料作成をしこしことやらなければなりません。

 先週の土曜日は久しぶりにワインの試飲に行ってきました。ワインのうんちくを聞きながらワインに合った料理をいただく。至福の時を過ごすことができました。大阪のワインも捨てたものではないですね。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
①注記情報は会計方針、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の注記で構成
②会計方針は企業の決算書作成の基本方針を記載するもの
③会計方針の違いで企業の経営戦略の相違が見えてくることがある

 さて、本日のテーマは「決算書の読み方と企業の見分け方6」です。前回、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書3つの決算書の関係と企業活動を他社比較や時系列比較をすることで見えてくるものをお伝えしました。今回は、注記情報です。

①注記情報は会計方針、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の注記で構成

 タイトルはちょっと長ったらしいですが、注記情報は会計方針、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の注記で構成されています。ただし、こうした情報はある程度の規模の企業では公表されていますが、中小企業では公表されていません。

 ですので、中小企業の注記情報を外部から見るのは難しいのですが、それでも記載する内容は大企業と特段の違いがないので、基本、同じ情報を中小企業でも記載する必要があります。NPO法人など非営利法人によっては公表されています。

 みなさんはこの注記情報をどのくらいしっかり見ているでしょうか。決算書だけでも見るのは大変なのに、注記情報なんてとてもと思われる方もあるのではないでしょうか。ですが、見るポイントだけ知っていれば、そこだけ見ることで企業の状況がわかることもあります。

②会計方針は企業の決算書作成の基本方針を記載するもの

 会計方針はどんなことが記載されていますでしょうか。基本、貸借対照表、損益計算書を作成する際に、重要な科目について、当方はこんな方針ですよということを示します。たとえば、消費税は税抜方式か税込方式かを記載することになっています。

 民間企業の場合、税抜方式が圧倒的に多いのですが、非営利法人は逆で税込方式が多いです。消費税は最終納税者は個人であり、企業は個人に代わって納税しますので、本来、損益には関係ありません。よって、通常は税抜方式を適用します。

 ですが、非営利法人は消費税を区分するのが大変なこと、利益の多い少ないにさほどの重要性を考えていないので、税込方式を適用することが多いです。もちろん、税抜方式を適用しても問題ありません。

③会計方針の違いで企業の経営戦略の相違が見えてくることがある

 このように、会計方針は採用が認められている方法であれば、自由に選択することができます。選択できるが故に、自社は何を選択しているかを明示することが求められます。それでないと企業を比較することができないからです。

 たとえば、有形固定資産の減価償却方法を見て行きましょう。減価償却方法は法人税法に規定されている方法として、定率法や定額法を適用している企業が多いです。定率法は初めに多く減価償却費を計上する方法であるのに対し、定額法は毎年同じ定額の減価償却費を計上する方法です。

 企業によっては、業種などの違いからこのバランスが大きく違うケースがあります。たとえば、施設やビルを賃貸している企業の場合、定額法を適用している場合が多いです。それは施設やビルの賃貸収入が定額であることに対応する費用も定額であることが合理的との判断によります。

 もっとも、減価償却は法人税の影響をもろに受けますので、建物は、どの企業でも平成19年4月以降の取得分から、建物附属設備および構築物は平成28年4月以降の取得分から定額法しか適用できなくなっています。

 そうすると、こうした税制改正の影響により、有形固定資産の取得と時期をどうすれば最も効率的かを考える必要があり、それが企業の経営戦略にも影響することになります。

 この辺は企業の会計方針を注意深く見ることで、いち早く対応している企業とそうでない企業の戦略に違いが出てきます。次週に続きます。